皆さん今日は、執筆者、柾木梨伽です。本日は、ご家庭で良くある問題点、羽毛布団の上にご家族が嘔吐してしまったらどうするか?をご紹介したいと思います。
洗えない布団に嘔吐してしまった…
ここで言う『洗えない布団』とは、どんな布団か。洗濯表示を見て、洗濯機か、洗濯桶、手洗いの表示があれば洗えますので、それが無い布団、という事になります。材質で言えば、羽毛布団、コットン、ポリエステルなどは洗えて、羊毛やキャメル、シルクなどは洗えません。あくまで目安ですので、きちんと洗濯表示を確認して下さいね。洗えない布団に、嘔吐する可能性のある家族が就寝する際には、予め、嘔 吐してしまった時の事を予測し、敷パッドや防水シートを敷いて、その上に寝て頂きましょう。防水シートは、介護用品店などで購入出来ます。
クリーニングする前に、嘔吐物の処理手順
自宅で洗濯機で洗うにしても、クリーニング店に出すにしても、嘔吐物の付いた状態では洗濯出来ません。まず、固形の嘔吐物を取り去って、消毒してから洗いに出しましょう。
嘔吐には二種類あり、①ノロウイルス・ロタウイルスなどの感染症胃腸炎の可能性がある物と、②普通の酔っぱらった、乗り物に酔った時の物があります。②の場合は、危険なウイルスに感染する可能性がありませんので、そのままペーパータオルで固形の部分を取り去り、ざっと予備洗いしてから洗濯すれば良いです。しかし、問題は、①の場合です。処理している方や、周りにいる方も、飛び散った飛沫からウイルスに感染する可能性がありますので、慎重にせねばなりません。詳しい手順を、こちらでご紹介致します。
ノロウイルスやロタウイルスは、普通のアルコール消毒では効きません。ウイルス性の嘔吐物の消毒に使うのは、『次亜塩素酸ナトリウム』が含まれる消毒剤です。次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素系漂白剤や塩素系消毒剤に含まれています。ノロウイルスやロタウイルスなどの感染症胃腸炎に効果のある消毒液の一例を掲載しておきます。
体内にウイルスを取り込まない為に、防御します。皮膚との間に隙間が出来ない様に、ぴったり装着します。
外側から内側へ、静かに、ペーパータオルや雑巾で固形物を拭き取ります。雑巾は、塩素系漂白剤を50~100倍に薄めて作った消毒液に浸すと良いです。使ったペーパータオルや雑巾は、洗って再使用せず、袋に入れて捨てます。使い捨てにして下さい。
布団は浸ける訳にいきませんので、消毒液で拭くだけですが、浸けられる物は浸けます。急いでいる場合は、0.1%塩素系消毒液に10分間、時間がある場合は、0.02%塩素系消毒液に30分間浸けます。
【漂白剤を使えない物の消毒法】…バケツに洗剤と水を入れ、静かにもみ洗いし、すすぐ。その後85°で1分間の熱水処理をし、消毒する。それから、他の物を分けて洗濯する。
他の洗濯物と一緒に洗うと汚れが移りますので、別に洗います。
500mlペットボトル
塩素系漂白剤
①ペットボトルのキャップに漂白剤を入れる。
★0.1%(1000ppm)にする場合…キャップ2杯
★0.02%(200ppm)にする場合…キャップ0.5杯
②ペットボトルに水を、500mlになる様に入れる。
③キャップを閉め、よく振って混ぜ合わせる。
注意※ 間違えて、お子様が飲まない様に、消毒液、と表示を書いて貼っておきましょう。
すぐに洗えない時は…?
すぐに洗う事が出来ない時は、熱を使ってウイルスを死滅させましょう。上記の方法で、固形物を拭き取った後、次の様にして熱処理します。
①スチームアイロンを使う
スチームアイロンを、1か所あたり、2分間あてます。アイロン後は、外で日光に当てて干しましょう。
②熱湯に浸す
85°の熱湯に1分間浸します。ノロウイルスなどは、熱に弱い為、これで死滅します。
③布団乾燥機を使う
外で日干ししてよく乾燥させた後、布団乾燥機を使って高温状態にし、ウイルスを死滅させます。50°で30分間加熱すれば、ウイルスを不活性化できるそうです。
嘔吐処理の注意点
布団に嘔吐してしまったら、動揺して、パニックになりがちです。しかし、落ち着いて、以下の事に気を付けて処理しましょう。
①消臭スプレーをかけない
消臭スプレーでは、嘔吐物の胃酸が混じった強烈な臭いには勝てません。殆ど効果は無いそうです。
②放置しない
慌てて、他の事をしていて、処理しないで放置しがちです。放置すると、嘔吐物が乾燥し、エアコンを使っていたりすると、気流にのって乾燥物が部屋中に広がり、被害が拡大します。気を付けましょう。
③汚れを広げない
ペーパータオルや雑巾で拭く工程で、汚れが付着した面で何度も拭くと、汚れの範囲が広がります。注意して下さい。汚れたら別の面で拭く、取り換えて拭きましょう。あと、ゴシゴシこすって汚れを取ろうとすると、汚れが布団の布の繊維の奥に入り込んで、余計取れにくくなります。注意しましょう。
④食器用洗剤・ハンドソープなどで消毒や洗濯しない
咄嗟に、近くにあるこの様な物を手に取って洗ってしまいがちです。気が動転していますからね。嘔吐物は、胃酸が含まれているので、中性又は弱アルカリ性の食器洗い洗剤・ハンドソープでは消毒や消臭は出来ません。注意が必要です。強い酸性の汚れを中和するには、強アルカリ性の薬剤でないといけないのです。
布団クリーニングに出す
嘔吐物の処理が終わって、ウイルスが死滅し、付着している固形物がなくなったら、布団そのもの、を布団クリーニングに出しましょう。殆どの宅配クリーニング会社で、衛生面から、排泄物・嘔吐物の付着した布団はお断りされてしまいます。嘔吐物の付着がなくなったら、初めてクリーニングに出せます。もし、消毒してもまだウイルス感染の心配があるケースは、クリーニング工程で再度消毒する必要がある為、消毒処理が出来る『指定洗濯物取扱施設』にクリーニングを依頼する必要性があります。『指定洗濯物取扱施設』はネットで調査するか、お住まいの地域の保健所に問い合わせしてみると良いでしょう。
【完全個別洗い】他のお客様のものと一緒に洗いません。「しももとクリーニング」